円高とは、即ち自国通貨の価値が高いという事であり、それは喜ばしい事である。正論ですし、確かにその通りであると思います。そして、輸出立国という認識をもっている国民が多い日本ですが、全産業での輸出の割合は僅か15%程度に過ぎず、円高が進んでこの15%の割合が半分にまで減っても、大きな問題はないという考えにも賛同します。

 力のある輸出を生業とする大企業が、日本は輸出立国であると言わせているからだとは思いますが、意外と一般の人が持つイメージとかけ離れた現実というものは多くあるので、上記の様な事を言われると、目から鱗的な感覚になり、円高阻止はナンセンスだとか、急激に思考を変化させてしまう人も多くいる事でしょう。

 確かにこの言い分は正しいとは思いますが、もっと視点を下げて広い範囲を見たらどうでしょうか?例えば株式市場ですが、上場している多くの企業は輸出関連であり、特に225に採用されている様な企業の多くは輸出産業の代表格みたいなところがほとんどであります。確かに全産業の割合の15%に過ぎない日本の輸出でありますが、株式市場に限ってしまえば15%どころの騒ぎではありません。

 さあ、円高は国益だとして放置したら、株式市場はどうなりますでしょうか?

 当然ながら、放置の後には暴落があるでしょう。まあ、一気に行ける所には限界がありますし、どこかでリバウンドはする事でしょう。しかし、明らかに株式市場は揺らぎますので、これはヘッジファンドなどの格好の餌食ということになってしまうでしょう。

 もし、この様な事になるようですと、当然ながら銀行や生保、もちろん政府が保有する株式の価値は下がるわけですから、その後に待っているのはバランスシートの崩壊であります。これが、時間をかけてゆっくりした崩壊であるならば、それは企業も努力を重ねて生き残って行くことでしょう。何せ1ドル360円のところから今まで戦い続けてきたのです。100円が80円になっても、70円になっても何とかやっていけることでしょう。

 しかし、今はそうした弱味を見せればヘッジファンドが急激な崩壊を狙ってくるのです。誰が何と言おうとも、ここは何としてでも止めなくてはならないところなのです。

 ただ、止めるとしても、その方法や、その後の対策を考えなくては完全な無駄になってしまうだけであり、失われた20年は30年にもなるでしょうし、下手をすれば後10年も持たずに崩壊という事もあり得るでしょう。特にあと2年もすれば団塊世代が年金をもらう時期に入りますので、国の財政はかなりの速度で悪化していくことになります。

 手がない訳ではないのです。例えば、今や10兆円まで落ち込んでいる法人税税収ですが、5%安くするだとかそんなせこいことはやらず、いっそのこと50%減税でもやって、他国と同等のレベルに下げれば良いのです。半分にしたって5兆円減るだけであり、子ども手当の財源分で間に合う話でありますし、その経済効果は恐ろしく高いと見ますので、減税で利益を得た企業からの税収は逆に上がると見た方が良いでしょう。税金が欲しくて税率を上げていては話にならないのです。国は税を取るのではなく、消費を国民に任せる方向に動くべき所まで来ていることに気づかなくてはならないはずなのです。

 また、今朝の日経新聞にはとても良いインタビューが出ておりました。5面の「領空侵犯」で、慶応大学教授の片山善博氏の意見でありますが、弱者の集まりである国民健康保険に、公務員の共済を合併させれば、国民健康保険の財政は一気に改善するという趣旨のものでした。特権は手放したくないという公務員がいる限り実現は不能かもしれませんが、こうした手が打たれれば、悲観するしかなかったものが、結構明るくなったりもする可能性を秘めているのです。詳しくは日経新聞をご覧頂ければと思いますが、色々な角度から見ていけば、決して行き詰まってはいない部分もあるのです。

 最初の円高の話に戻りますが、円高は自国通貨の価値が上昇している事の表れでありますから、これは歓迎すべき事であるのは確かなのです。今は、デフレを生み出している元凶でありますし、上場企業の収益を圧迫する悪以外の何者でもありませんが、視点を変えればこれを武器に出来る可能性だってあるのです。それが見えるまでは、円高を歓迎すべきとしてはいけませんし、このままでは日本は大変な事になってしまうでしょう。求められるのは政治力でありますが、果たして・・・。ただいまメンバー募集中です。詳細はこちらからどうぞ。

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