今、株価の上昇基調は鮮明といっても過言ではないかと思うのですが、それを支える一つの材料は円安であるといえます。この円安は米の長期金利上昇を受けて金利差が拡大した事によって始まったのですが、長期金利の上昇の理由が何とも微妙なのです。景気が回復傾向なので国債よりも株という事で、国債への入札が不調に終って金利が上昇したという事だと思うのですが、そもそも景気を回復させるためにFFレートは当面ゼロに抑えると発表されているのですので、幾ら景気回復期待だとはいえ、ここでの長期金利の上昇はあまり良い状況とはいい難いのではないでしょうか。

 状況はどうあれ円安は日本にとって有利だと考える方も多いかも知れませんが、そもそも製品を作るためには原材料を輸入しなくてはなりません。ここのところの原材料価格の上昇は顕著であり、鉄鉱石は90%の値上げになったり、石炭は40%の値上げですし、原油価格も86ドル台に上昇してきております。当然他の原料価格も上昇傾向であり、これほどまでに原材料価格が上昇してしまうと、それを製品に付加しなくてはならないのです。

 輸入物価が変わらないという事であるならば、為替は円安になる方が輸出企業にとってもプラスに働くと思いますが、こうまで原材料価格が上昇してしまうとなれば、円安は買い材料にはならないのではないか?むしろ、世界の物価上昇を考えるならば、円高の方が有利ではないのか?という考えに至ります。

 また、深刻なのは日本のデフレです。先日発表されたGDPを元にするならば、国内には40兆円分の過剰な在庫があり、依然として値下げ圧力が強いのです。ファーストリテーリングの経営するGUはジーンズに続きスカートも1000円割れと、値下げ以外に活力を見出す事が出来ない有様です。確かに経営者は儲かるでしょうけれども、その為に潰されている他産業の事を考えるならば、本当に酷い話だとしか言い様がありません。

 ファーストリテーリングは単に代表例であって、特別ここが悪いと言う訳ではないのですが、とにかく日本はデフレが止まらないのです。不動産価格もそうですが、とにかく余っている40兆円が消えるまでは値段が下がりますし、下手をすればそれはスパイラルと成り、40兆円減っても更に40兆円が余っているという事にも成りかねないのです。

 その様な状況下において、資源高と円安によるダブルパンチを、企業はどうやって吸収して行くのでしょうか?リーマンショックで落ち込んだ業績からみれば収益倍増という企業も多い様ですが、果たしてこの状況でどこまでそれを伸ばせるでしょうか?本来ならばこういった困難な事態が起こりつつある時に政治家が一生懸命働くべきなのですが、どうにも期待は出来そうもありません。国民や企業が求めている所とは違う所で、全く違う戦いをしておりますからね・・・。

 ちなみに、この資源高でありますが、元を辿れば日米欧の財政出動であったり、中国の対外出資であったりが影響しており、ばら撒かれたマネーが新興国の景気と資源高を作り上げているのです。日米欧は内需がそれ程伸びておらず、ばら撒いたお金で自国へ入ってくる資源の値段が上がってしまうという状態になっているのです。

 特に輸入に頼っている日本の損失が大きいのですが、筋金入りのゼロ金利政策は世界に安心感を与えており、円キャリートレードは完全復活の様相です。まあ、以前ほどレバレッジはかかっていない様ですが、とにかく自分で自分の首を絞めている状態である事は確かでしょう。

 果たして、この流れはどの様になって行くのでしょうか。単に株高で喜んでいて良いのか?よく考えるべき所へ来ているように思えてなりません。

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