リーマンショック以降に世界中で実行された金融緩和政策ですが、本当に巨額の資金が市中にばら撒かれましたし、同時に行われた車や住宅の購入補助などで潤った企業も多く、確かに業績が回復している面もあるのですが、多くはリストラなどの企業努力によって生まれた利益でもあります。

 新興国の景気が良いのも先進国から流れる溢れたマネーがもたらした景気であり、単なる発展という嬉しい状態ではないのは確かであります。先進国でばら撒かれたマネーにより、確実に世界経済の底は上がったかと思いますし、ここのところの株価の上昇を金融相場の産物とするならば、これはこれで正常な相場と言えそうですが、金融相場とは期待感の強い相場であり、その後には業績相場に移行しなくてはなりません。

 そして、その業績相場でありますが、来週から米で第一四半期の企業決算の発表が本格化するのですが、リーマンショックで落ち込んだ幅が大きかった為、その増益率は年率換算で30%程の伸びになるのではないかと噂されております。以前の予測では20%程度でありましたので、この数字はややサプライズ有りといった感じでしょうか。

 一見すると景気は回復傾向であり、金融緩和が続く限りはこの相場も続きそうですし、バーナンキFRB議長もゼロ金利は当分続けると発言しており、決して悪くもないように思いますが、問題は金融相場としては良い所まで買ってしまっており、更に上昇を続けるためには業績相場に入らなくてはならないところなのです。

 この金融緩和で本当に景気が底を打ち、世界経済は再成長へと進むというのであれば、私も嬉しく思うところなのですが、特に先進国の企業業績はリストラを中心とした合理化が基礎となっており、業績相場へと移行するとしても、どの国も最悪の雇用問題に取り組まなくてはならない状態にあるのです。

 先日、米で発表された雇用統計ですが、10年に一度の国勢調査に絡む臨時雇用や、26週をオーバーした失業者を排除して出された数字の為、非常に良好な数字に見えました。本当にこれだけの回復があれば嬉しい所なのですが、現実は相当酷い状態が続いており、とても雇用増につながる雰囲気は見えてきておりません。

 何せこの景気を下支えしているのは毎週毎週追加される米国債によって調達されている資金であり、その利率はジワジワと上昇しており、入札価格が心理的節目である4%を超える日も近いと見るべきでありましょう。FRBは長期でゼロ金利を続けなくてはならないと、問題をしっかりと認識している様ですが、操作できるのは短期金利だけであり、長期金利に関しては需要と供給の問題である為にリップサービスだけでは限界があるとしか言い様がありません。

 今は景気の回復が鮮明だとか、失業率は改善だなどと言って状況をごまかしている様ですが、ほころびる日はそう遠くはない様に思えてなりません。

 そもそも今回の企業業績の回復の要因は、リストラを中心とした合理化がもたらしたものであり、特に先進国では失業率が大変な状態になっているのです。血の滲むようなリストラをした企業は、少々景気が上向いたところで雇用を増やそうとは思わない訳で、雇用が増加する為にはかなり長い確実な景気回復を実感出来る様な経済状態にならなくてはいけないのです。

 日本はバブル崩壊から20年が経過しておりますが、その間の正規雇用は減る一方であり、雇用が改善した時期もありましたが、その中心は派遣社員などの臨時雇用でありました。一時は正社員の雇用が増え始めた時もあったのですが、その時にリーマンショックが起こりましたので、その流れは本格化する前に終ってしまいました。

 リーマンショックから2年も経たない内に景気が回復し、しかもリーマンショックがなかったかの様な株価になっておりますが、企業の借金を国が肩代わりしただけで、企業のデフォルトリスクが国のデフォルトリスクに代わっただけなのです。相手が国ですから、何となく安心感があるのかもしれませんが、現時点では何も好転していないのです。金融相場でどこまで買おうが構わないと思いますが、安心感のある業績相場に移行するためには足りないものが多過ぎるのです。

 願わくば景気が回復し、楽しく暮らして行ける様になって欲しいのですが、残念ながら状況はそれ程甘くはないとしか言い様がありません。

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