今、市場には売りと買いの材料が幾つも存在しており、それらの材料の何処にスポットを当てるかによって相場が上に動いたり、下に動いたりとなる訳ですが、それらの材料は複雑に絡み合っておりますし、一つの材料が良くも悪くも取れたりするものもあるので、この判断は非常に難しい状態になっております。

 例えば昨日も書いた政府の景気判断の上方修正の件ですが、景気が回復しているのにデフレは止まっていない訳ですし、財政出動を絞ればあっという間にその景気も反落するという懸念がある為、日銀は景気回復にも関わらず金融緩和である新型の10兆円のオペを計画し、更にそれでも足らないという事で20兆円へ積み増すという話まで出てきました。

 景気回復なのに財政出動は止められないし、ほぼゼロ金利の下でも更に緩和をするという恐ろしい状況であるのですが、単に金融緩和という意味では株式市場にはプラスに働きますので、ここのところの株価の動向は堅調そのものなのです。

 ただ、問題なのは国の借金が増え続けている事で、せめてこの増加を止めなくてはならないところであるはずなのですが、金融引き締めは出来ませんし、増税に走っても景気の失速は避けられなくなるのです。目先は緩和、緩和と続けるだけで相場になっておりますが、これだけの借金を背負った状態で、どこまでこんな強気を継続出来るというのでしょうか?

 また、現在世界の経済を牽引している中国ですが、ここもまた前年比11%増の110兆円の財政出動を計画しておりますが、一方ではバブルが発生しているのです。不動産を中心とした物価の上昇は庶民を苦しめ始めており、当局もそれを放置する訳には行きませんので、金融を引き締める方向に動き始めているのです。

 中国当局は物価の上昇を年3%に抑えたいとしておりますが、これだけの規模の財政出動をすれば物価は上がって当然であり、本当に3%に抑える様な金融政策に進むならば、株価は確実に暴落する事となるでしょう。

 当局もそれは十分に承知していると思いますし、狙いはあくまでもソフトランディングだとは思うのですが、バブルをソフトランディングさせた事例を私は知りません。ゆっくりゆっくり金利を上げ、それでも物価の上昇が止まらずに、これでもか!と上げた所で暴落・・・。バブルをベースにした相場の世界にソフトなどという事は起こらないのです。

 更にいえばギリシャを代表にしたユーロの問題です。ギリシャでは国民の四分の一がゼネストに入っており、国自体が麻痺状態に至っているのです。こんな状態を見て、真面目に働いているドイツがお金を出したり、保障を付けたりするでしょうか?少なくとも国民は「ふざけるな!自業自得だろう!」としか思っていないのではないでしょうか。

 そして、例えギリシャが何とかなったとしても、その他にも財政赤字を抱える国が後に控えているのです。おまけにユーロ各国もまた財政出動で支えられた状態での景気回復であり、回復ともなれば直ぐに金融の出口論が始まります。残念な事ですが、もはや借金漬けになった欧米諸国も日本同様に金利は上げられない状態に至っているのです。償還は数年後だと突っぱねる事も可能かもしれませんが、相場はそれ程甘くはない様に思います。

 良い部分にスポットを当て、悪い部分は影に隠してしまえばこの相場は続くと見ても良いのかもしれませんが、突如として影の部分にスポットを当てる動きが出て来る可能性もあるのです。買うにしても安心などという事は何処にもないわけですし、私はいずれ影の部分にスポットが当ると確信しておりますので、例え目先は上に行ったとしても、基本的な運用方針が変化する事はないかと思います。

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