ボルカールール

 銀行にリスクの高い金融取引を禁止する事などを柱とした米の新金融規制案。俗に言うボルカールールですが、EUは金融危機の再発防止に対しては米と同じ決意を持って対応するとしましたが、銀行の構造が違うという事で同規制案の導入には否定的な見解を示しました。

 そもそも、米の銀行はデリバティブで利益を上げる構造になっており、同法案の庶民受けは良いとしても、実現は不可能に近いのではないかと言わざるを得ません。それは欧州に取っても同じ様なもので、どう考えてもそれを導入するのは無理というのが正直なところでありましょう。

 ただ、このまま何の規制もなしにしたのでは、銀行関係者以外の多くの人は納得しないはずで、何らかの形で骨抜きにされてからこの法案が通るような形になるのでしょう。単に選挙対策の見せ掛けだけの法案として考えるのがベストだと思いますので、あまり気にする様な話ではない様に思います。

 今、確かに金融危機の再発は防止しなくてはならないという防衛策は重要だと思うのですが、もっと重要なのは先に起こった金融危機の後始末が終っていないという事です。米のバブル崩壊の衝撃を和らげる為、消失してしまった消費を世界中で巨額の借金をして消費を作り出してしまったのです。日本を見ても分かるとおり、これは劇薬なのです。ちょっとでも使い方を誤れば、死に直結する恐ろしい処方なのです。

 欧米では早期の財政健全化が議会で可決されたりしておりますが、今頼れるのは中国の消費位なのです。その中国もバブルを警戒して金融の引き締めに動いており、少なくともこれ以上急激に経済が伸びる事はないでしょう。そして、動向次第ではバブルも弾けかねないと見るべきでありましょう。

 この様な状態であるのに加え、ギリシャを筆頭に欧州の数カ国(PIIGS)は非常に厳しい財政状況にあり、比較的健全なドイツなどはそうした国に対する支援を拒んでいる状況なのです。自業自得なのに自分たちの税金を使って助ける必要はない!当然の感情でありましょう。元々違う国々の集まりであり、誰も嘘を付かないという条件の下に存在したのがユーロという単一通貨なのです。ドイツから考えるならば、嘘つきは退場しろ!といった感じではないでしょうか。

 また、比較的健全なドイツでも今回の金融危機の衝撃を和らげる為に国債が発行されている訳で、助けるとしても結局は借金頼みなのですし、欧州以外から見れば結局はユーロの問題であり、ユーロ安は避けられないといった感じでしょうか。

 ボルカールールでこれからの危機に備えるのも分からなくはないのですが、それ以前に起こった危機の後始末をしっかりとしてもらいたいものです。最近はあまり聞かなくなりましたが、デリバティブの不良債権は消えてなくなった訳ではないのです。日本がバブル崩壊後にしていた代表的な悪行として「とばし」というものがあるのですが、当時の日本はとばしの件で外国勢から強い批判を浴びていました。そして、とばしを認めないという事になり、大手銀行や証券が潰れていったのです。

 ところが、今は欧米でその「とばし」が政府公認で実行されているのです。政府公認ならばOKなのか?いや、絶対にそんな訳には行かないはずです。いずれ必ず誰かがスポットを当てるはずです。この不良債権の山はどうするのだ?と・・・。

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